Necromakeycon-ネクロマキコン-

唐揚げを揚げつつ横スマを振ります。

自分と定食屋の話

この季節になると卒業関連の話題が上がりますが、自分がちょうど大学卒業する頃の話を。


自分は大学前にある定食屋「たかさご」(以降さご)でよくご飯を食べてました。
値段も安く、ご飯やカレーは学生向けに大盛りがデフォ(大盛りにするとやばい)、店主のおっちゃんおばちゃんも愛想がよく、人気のお店でした。

2コロッケカレー(大) 720円 ※ルーが皿に収まりきれず、画像奥の容器にも入っている
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大学には学食もあったんですが、自分の所属していたサークルや、研究室のメンバーはさごで食べることが多かったです。
値段も安いし量があって美味しいのももちろんありましたが、やはり大学で一人暮らしをする中で「いつもありがとーね!」と明るく声をかけてくれるおっちゃんおばちゃんがいるのは居心地が良かったからだと思います。

あまりにもサークルメンバーや身内が通うので、日替わりメニューをつぶやくbotがあれば需要あるのでは?と、bot(手動)を作ったりもしました。(毎日通っているのでメニューは手動でつぶやく)
twitter.com

さごのヘビーユーザーは「今日のBは久々に鶏皮ピリ辛丼+ラーメンじゃん!食べに行かないと!」みたいな感じで使ってくれていたようです。

そんなさごですが、ある時期から店主のおっちゃんが体調を崩してしまい、長期に渡って姿が見えなくなりました。
店はさごのおばちゃんとパートの人で回していたので営業には問題なさそうでしたが、おっちゃんの「後ろからごめんねーー!!」と料理を持ってきてくれる声を聞けなくなって心配していました。
それから1年ちょっとぐらいが経ち、自分たちが卒業することになりました。

そんな「もうすぐ卒業だね」という時に、さごのおっちゃんが亡くなってしまった、と連絡が入りました。

自分と同じ研究室でさごでバイトをしていた女の子がおり、その人からの情報でした。
おばちゃんから聞いてお通夜はいついつにどこでやるので、よく店に来てた人たちで行ってあげてほしい、とわざわざ連絡をくれたのでした。


自分の所属していたサークルはさご大好きでほぼほぼ毎日通うような人も多かったので、サークルメンバーにとっておっちゃんの訃報は実の父親を失ったかのようなショックでした。
サークルでは上下の繋がりも結構広くあり、在学中会わなかったOBとも飲み会や技術交流で顔見知りだったりもしたので、お通夜の連絡もすぐ伝わりました。

平日夕方からの通夜で急な連絡でしたが、社会人含めてサークルで10人弱ぐらいの人数が集まりました。(みんなさごのおっちゃんと呼称していておっちゃんの本名を知らなかったので、危うく知らない人の通夜に突撃するところでしたが)

おっちゃんに最後の挨拶をしました。
久しぶりに見るおっちゃんは、誰だかわからないくらい痩せ細って髭もじゃになっていました。


会場には展示スペースが設けられていて、さごは元々定食屋でなくうどん屋だったこと、店の改築前はスペースが2テーブル分狭かったこと、店を建てたときの店とおっちゃんの写真などを知ることができました。

自分の曾祖父の葬式とかには参列したことはあれどそれは子供の時、しかもそんな頻繁に会わない親戚の話でしたが、20過ぎてから毎日のように会っていた人が亡くなることがこんなにもつらいのかと当時は思いました。



その後自分は卒業し、さごにも帰省するタイミングとかで寄ってはいたんですが(同じ大学の後輩スマブラーにさごでエンカウントしてた)、おばちゃんももう歳だということで昨年の2月頃にたかさごは閉店となりました。

「店が閉まる」という連絡も、当時のバイトしてた人から教えてもらいました。
閉まるまでには絶対行かないといけない…ということで即有給を取りました。

そこでちょうどタイミングよく、会社で「大学の卒業生を新社会人としてこっちにどう?」という感じの研究室OB訪問みたいなのが企画としてあったらしく、休み取りたい事情を説明すると自分も業務としていけばいいんじゃん?みたいな感じで仕事も兼ねてさごにいけることになりました。フットワーク軽い会社で助かった。軽すぎだろ。

おばちゃんは元気そうで、わざわざありがとねーと変わらない笑顔で迎えてくれました。(あとで自分が一緒に社長連れてきたと知ってびっくりしてましたが)

B定食 とりかつ南蛮丼+ラーメン
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これでも700円。ラーメンが半ラーメンとかではなくてラーメン。
学生時代から若干値上がってはいるものの(当時セットは680円だった)、この安さとボリュームをまだ維持し続けていたのかと改めてすごい店だなと思いました。


その日は同期のサークル仲間に泊めてもらい、翌日もさごへ。
土曜でしたが昼間は開いてるということで自身最後のさごとなりました。

閉店直前ということもあり、打ち合わせてもいないのに同じサークルのメンバーがゾロゾロと集まってきて固まり始め、学生の時みたいにワイワイ喋りながらで(おばちゃんからはいつも大勢で来て固まってるあいつらみたいな呼び方されてたけど)懐かしい気持ちになりました。


おっちゃんが亡くなったのも、店が閉店したのも、ちょうどこの時期ということで、やはりこのシーズンになるとさごのことを思い出してしまいます。特に閉店は記憶に新しいですし…。

青春時代を一緒に過ごした思い出の店がなくなってしまうのは寂しいですが、コロナの騒動が起きる前だったので、最後に自分の足でお店へ駆けつけることができたのは本当に幸運でした。
今後行きつけのお店がなくなることになったとしても、関東から九州ほどの距離があって、休み取って行く店はないでしょう。


もうさごの料理を食べることはできませんが、たかさごというお店があったことは一生忘れずにいたいです。
また自分が今後イベントをやったり店をやったりあると思いますが、自分が、誰かにとってのさごのおっちゃんおばちゃんの様な存在になれるよう目指していきたいなと思います。