Necromakeycon-ネクロマキコン-

唐揚げを揚げつつ横スマを振ります。

【スマブラオフ大会】クロブラでやっていること

クロブラとしてのイベント活動も来年で丸5年となります。

当時はそれほど多くなかったスマブラのオフイベントも、SP発売以降特に開催する人が増えてきたように思われます。

 

現状はコロナでオフ大会が開催できていないというところも多いですが、今後の参考になるかなと言うことで、今までクロブラとして取り組んでいることや大会に対する考え方をまとめてみました。 

 

 

クロブラの基盤の話

smash.ggの導入

smash.ggはゲームの大会を行う際に使用するトーナメント管理サイトです。

smash.gg

 

選手の参加申請からトーナメントの管理を一括で行うことができ、様々なゲームに対応しています。
元々海外のスマブラコミュニティが使用するために作成されましたが、その有用性からEVOなどの大きな大会でスマブラ以外のゲームでも利用されることが多くなりました。

 

ここの良いところはすごい大雑把に言うと「機能が豊富でスタッフが楽になる」という点と「ゲームコミュニティが発達している北米でよく利用されている」という点があります。

 

smash.ggについての利点等は過去にも記事にしているのでそちらでご確認ください。*1

chromakeybullet.hatenablog.com

 

 

Discordの導入

クロブラではDiscordサーバーを作成し、スタッフ、参加者ともに情報共有できる環境を作っています。

 

discord.gg

 

参加者も入れるというところがキモで、それまでの管理体制としてはDiscordでスタッフ間の話し合いは行っていたものの、参加者とスタッフの間の連絡はすべてTwitterで行っていました。

32人規模ぐらいのイベントであればそれで事足りるんですが、クロブラとしては80人〜192人規模での開催のため、すべてTwitter管理となると大変になります。

 

個人からの問い合わせはDMで来ることが多いのですが、勿論リプライでも来ます。

どの人のキャンセルは対応済みで、どの人はまだ対応してない、みたいなのがパッと見ですごくわかりづらい。

またそれをひとりで対応しようとすると、誰かがTwitterに張り付いていないといけず、個人の対応だけで大会開催前に大幅に時間を取られてしまうという問題がありました。実際申請開始前後と大会直前は参加者の対応で数時間とかもありました。

 

そういうのもあって複数人で対応できるようにスタッフでTwitterアカウントを共有してみたりもしましたが、誰かが意図せず既読をつけてしまい、他の人に通知が行かず対応が漏れてしまったり、誰かが見てるから対応してるだろう、で実際反映できてなかったりという新たな問題もありました。

 

結局Twitterは個人間のやり取りする程度で一対多の対応には向いてない、別の手段を考えないと、というところからDiscordが候補に挙がりました。


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Discordの良いところはサーバー内にチャンネルを分けれるところですね。

チャットで「質問」を設けることで、Twitterで個人宛に対応していた同じ質問を一気に処理でき、「キャンセル・遅刻連絡」でまとめて参加者に報告してもらうことでスタッフだけでなく、参加者にも情報が共有されるのが大幅にスタッフの労力を削減してくれました

 

「予選始まるけど同じブロックの○○さんは遅刻でもうすぐ来るなら始めとこう」みたいなのが、【運営に問い合わせる】→【運営が確認する】っていう手順を踏まず実行できるんですよね。

参加者サイドに情報展開して進行がスムーズになるんであればやった方がいいなと思ってます。

 

大会ルールのWeb掲載

クロブラでは大会ルールをGoogleドキュメントで作成して公開しています。

 

docs.google.com

 

ドキュメント上でルールを掲載しておく理由としては大きく2点あります。

1つは「同一ページを更新するため間違えて旧ページを見てしまう心配がない」という点です。

なんだかんだで最近のゲームはアプデが多いため、ルールについても割と大きな修正がたびたび発生します。

旧ルールの記事、新ルールの記事、または旧ルールのPDF、新ルールのPDF…という風にルール改定によって参照先が異なってしまうと、新規参入者同士の対戦で旧ルールを読んで間違えてそのまま実施してしまった、みたいなことが発生しない保証はないですし、そういう問題が起こりうる可能性はなるべく排除したいと思っています。

 

もう1つは「URLが固定なので展開がしやすい」という点です。

クロブラでは名札の裏やスタンプカード(後述)などに大会ルールのQRコードを印刷しています。

 

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毎回同じURLにアクセスすればいいので、QRコードの画像も同じものを流用しています。

印刷時に「間違えて前のURL貼り付けてしまった!」みたいなのがないから過去のものでも使えるのは大きいですね。

 

オリジナルキャラクターの作成

クロブラには「黒丸」と「ブラン」という八咫烏モチーフのオリジナルキャラがいます。

 

一般募集し、多数のキャラの中から決めさせていただきました。

f:id:chromakeybullet:20200908033716j:image

オリジナルキャラを作った経緯としては、クロブラという大会を大々的に宣伝するにあたり、版権キャラクターの掲載はNGだったり不都合が起きることが多いため、「だったらオリジナルキャラを作ってしまおう」というのが発端です。

 

この黒丸とブランは、クロブラTシャツのデザインとして使用されている以外に、告知ツイートでの画像、Twitchの未配信時の画面などに使用しています。

 

元々3Dモデルも作って…と考えていましたが、依頼して3Dモデルを作ってもらう費用と3Dモデルを使ってYouTubeなどで展開すると大会そっちのけでそちらに注力する必要があると考えると今すぐの実践は難しいと判断して保留にしてます。

モデルがあったとして、どうするかももやもやのまま考えられていないので、逆に「こうすればいいのでは?」という発想が出てくれば動き始めるつもりでいます。何らかの形でVTuber的なものとして出てくるかもしれません。

 

ユーザー目線の話

smash.ggの申請手順

さて、smash.ggを使用している理由に「機能が豊富でスタッフが楽になる」と書きましたが、ユーザー目線ではそうもいかず。

特に初めてオフ大会に出る人にとってはsmash.ggとは縁もゆかりもなく、見たことも聞いたこともないはずです。

公式ヘルプページはあるものの、英語圏のサイトなので英文を見ただけで読むのを諦めてしまう人からするとそれだけで参加を諦めてしまう恐れがあります。

 

流石に運営が楽になるからという理由で、初心者の大会参加を阻害するようなことはしたくないので、smash.ggのアカウント登録から申請までのマニュアルを作成しています。

docs.google.com

 

キャンセル待ち枠の導入

参加枠が埋まってしまった際も「キャンセル待ち」として申請できるようにしています。

 

これは誰かが捨てアカウントで大量に枠を取り、参加したい人に声をかけてタイミングよくキャンセルし参加枠を特定の人に譲るなどの行為がある可能性を排除したいためです。

大量に枠を取らないまでも、参加者がキャンセルする際に知り合いが申請できるように会話しているのを過去に見たことがありますが、それって知り合いが多い人が有利になるだけで、初心者とかその土地に知り合いがいないような遠征勢は不利しかないのでは?と、個人的にあまり気持ちの良いものではなかったです。

また、「キャンセル者がいつ出てもいいように申請ページに貼り付いて申請する」という行為自体が参加者にとっては負担でしかないため、申請システムで回避したい事項でした。

 

smash.ggでは参加者側からのキャンセル手段はないため*2、【参加者からキャンセル連絡を受ける】→【キャンセル待ちの人を繰り上げ処理する】→【キャンセルする人をリストから削除】、という流れになっています。
これはキャンセル待ち枠を設けない場合と比較すると、スタッフとしての作業は増えますが、円滑な申請には必須だと思ってます。

 

また、キャンセルについては「あと何人キャンセルがあれば参加できますか」の質問がよく来ます。
個別に対応するとなると【依頼を受けた人の名前を確認する】→【現在の参加者リストをCSVで出力する】→【キャンセル待ちの数を数える】と手間がかかるので、30人ぐらいのキャンセル待ちの人全員からそれを聞かれるとストレスで爆発してしまいます。

ということで、下記のようなスプレッドシートを作成して「あと何人キャンセルがあれば参加できる」というのがわかりやすいようにしています。

docs.google.com

パワーランキングの作成

クロブラでは「braacket」というサイトを利用して、クロブラ参加者のパワーランキングを作成しています。

 

これも過去の記事に概要を書いています。

chromakeybullet.hatenablog.com

 

実際のbraacketは下記のようになっており、過去の対戦の全プレイヤーの総当たり表や個人ページでは各プレイヤーとの勝率などが確認できます。

braacket.com

 

これは参加者のモチベーションを高めるとともに、大会のシード権を決める際の指標にするためです。

まだ今年に入ってトーナメントが数回しか行われてないため精度は低いですが、来年以降も使用する予定です。

 

 

大会の特徴の話

大会の位置づけ

クロブラは神奈川の大会です。関東です。関東といえばスマブラ大会はウメブラがあります。

クロブラが大規模を目指そうとしても、恐らく規模でウメブラを越えることは無理なので、同じ毛色で頑張ってもウメブラの劣化版になってしまいます。

それだと大会やる側としても面白みがないので、ウメブラとは方向性を変えようとは初期のころから思っています。

 

小回りが利くのがクロブラの利点だと思っているので、スマブラに限らず、別のゲームをやるイベントを設けたり、サブイベントでは競技性の欠片もない内容をやったりしてます。

参加者が楽しくするのは勿論ですが、運営だけやってるスタッフにも楽しめる大会を目指しています。

 

大会ルール

クロブラでは他の大会にないルールとして「互いの合意があれば好きなステージで対戦してよい」*3というものがあります。 

 

正直今ではこのルールを使ってくれる人が少なくなってしまって悲しいのですが、配信台で使用していただくとめちゃくちゃ盛り上がる要素になるので、クロブラ参加者は機会があれば試していただきたく。

 

 

 

スマブラDXとの合同開催

クロブラではスマブラSPのトーナメントとスマブラDXのトーナメントを同日に開催しています。

元々スマブラDXは部門としてはなく、1台だけブラウン管が置かれフリー対戦が出来るだけでした。

 

トーナメントとして採用するにあたって、あらゆる手段を使って*414型のブラウン管を回収、トーナメントができる台数まで揃えました。

 

元々自分はDXからスマブラ界隈に入ったので、クロブラを開く際に合同開催をしたいと思っていました。

関東にはクロブラができる前には大会は完全にスマブラDXと新作(当時はスマ4)と分かれていましたが、互いに交流できる場所を設けたことで、DXを触るスマブラ4勢、SP勢も増えたと思います。

 

アンケート結果の反映

クロブラ後には(ほぼ)毎回アンケートを取っています。

参加者目線でどのように映っていたのか、参加者は何を望んでいるかという意見をもらっています。

当然厳しい意見もありますが、大会を思っての発言なので受け止めて改善できるようにしています。

 

逆に意見がないなら肯定とみなしてこのまま行くぞ、という感じです。

最近は苛烈な批判アンケートはなくなってきているので、大会の質としてもいい方向に進んでいるのかなと思っています。

 

飲み会

イベントが終わったら飲み会を毎回行ってます。

飲み会をやる理由としては、やっぱりお疲れ様会的なのはやりたいからなんですが、飲み会に行きたい人が機材の片付けを手伝ってくれるので片付けが早く終わるというこの世の真理に気がついてしまったのも理由の一つです。

 

会場と倉庫、倉庫と飲み屋が近いのは強さしかないですね。

 

内輪な話

スタッフへの配慮

スタッフはクロブラにとって大事な戦力です。

自分一人では大会やろうにも開けないですし、スタッフの協力があってこそです。

最近は(言うほど最近でもないですが)昼の弁当は大会側でお金を出して提供するようにして参加費も一般より安くすることで、金銭的な負担をなるべく小さくなるようにしています。

 

また、初期の頃はスタッフ数名に戦力が集中しすぎていたため、なるべく業務を一人に集中させないよう心がけています。

 

参加費について

コロナ禍の現在、クロブラだけでなくスマブラオフ大会の大規模な開催は厳しい状態です。

会場キャパの半分を参加上限としてイベントを開催する必要があるため、支出はそのままに収入が半分に減る計算です。会場費や使用するWi-Fiの通信費、倉庫費などの固定費用を考えるとギリギリ黒字になるかなという感じです。

こういう話をすると「じゃあ普段は参加費を取りすぎなのでは?」みたいなことを言う人が出てくるんですが、台風や雪など天候によって開催を断念したりは過去に例のある話で、また今回のコロナのようにいつ開けなくなるかなんてわからないので、予算ギリギリにしてしまうと長期的に見ると回らなくなってしまいます。

 

特に今回のコロナでは大会開かない間に半年近い倉庫代とWi-Fi代が消えました。

2台体制で回していたポケットWi-Fiは仕方なく1つ解約しました。

 

そんな状況ではありますが、学生にはなるべく来やすい環境を作ろうと高校生以下には学割があったり、スタンプカードでスタンプが貯まると500円引き、などもやってます。

いろいろ併用して無料で参加する人もたまにいます。

参加者も割引で得しますが、主催としても毎回来てくれてるっていうのがわかって嬉しいですね。スタンプカードはクロブラからの感謝の割引です。

 

とはいえ、やはりコロナの影響もあり、かつ会場費も今後上昇するらしいので、近いうちに参加費の値上げは検討してます…。

 

質問コーナー

Q.オフ大会初めてですが参加していいですか。

A.クロブラに限らず、初心者の参加を拒む大会はないと思います。(レベル高すぎて参加者が行きづらく感じる大会とかはあるかもですが…)

 

Q.DXとSP同時参加は可能ですか。

A.可能です。両方出ても参加費は変わりません。

 

Q.クロブラDiscordは入らないといけませんか

A.強制ではないですが、先述の通りキャンセルや遅刻の管理を行っているので、通知全切状態でもいいので入ってくれると嬉しいです。参加申請開始前に全体通知飛ばしたり、Twitterよりも大会情報がまとまってるという利点もあります。

 

Q.会場はどこですか

A.神奈川県の小田急相模原駅が最寄駅です。改札出て屋根に沿っていけば会場につくので、(場所は都内からちょっと遠いですが)利便性はいいと思います。

 

Q.小学生以下でも参加できますか

A.年齢に制限はありません。ただし、smash.ggには年齢制限があるため、アカウント登録は保護者の方が行ってください。プレイヤーの付添という形で保護者の方が見学する場合は料金は不要です。

 

Q.申請すぐ埋まって参加できないんだけど

A.コロナ禍で人数制限しているためそこに関してはどうしようもないです…御理解をお願いします。

 

Q.コントローラーでホリコンは使えますか

A.連射機能を使わなければ使用可です。

 

Q.取材等で会場内の写真や動画を撮ることは可能ですか

A.可能です。

 

終わりに

長々と書きましたが、個人的に大会開くにあたって大事だと思ってるのは「運営が楽できる環境を作ること」です。

楽といっても運営が仕事をしないという意味ではなく、効率化できるところは効率化して、目の前の仕事にしっかりリソースを割ける環境を作るという意味合いです。

 

そのために

質問は来る前に潰す

繰返しの説明をなくす

という手間を省くことに関しては徹底しています。

 

またそれを達成するためにsmash.ggだとか、Discordのようなツールは積極的に採用していきたいと思ってます。

 

ゲームのプレイヤーが「大会の運営手伝いたい」と思うことなんて少ないのが当たり前で、少ない人数で大きな大会を回すなら効率よく動く必要があります。

彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず、です。

運営で勝つには事前のリサーチは大事です。大変ですけども、事前準備ができていればいるほど当日慌てずに済みます。

 

いろいろ具体例を挙げましたが、自分の考えが大会の絶対的な真理だと言うわけでもなく、結局は規模や環境で最適解も無限にあると思ってます。

参考になるところは参考にしつつ、各スタッフで一番いいやり方を模索してみるといいと思います。

*1:1年前の記事なのでsmash.gg側がアップデートされて現在の仕様に合わないところもあるかもしれません…

*2:参加者が減ることによりトーナメント配置が意図せずズレるのを防ぐためで、基本的にキャンセル者はDQとして扱う

*3:自作ステージは不可

*4:ヤフオクとかジモティーとかで使えそうなものを揃えました