Necromakeycon-ネクロマキコン-

唐揚げを揚げつつ横スマを振ります。

コロナ禍のスマブラオフ大会で思うこと

緊急事態宣言が延長する中、多くのイベントが中止や延期、映画館や飲食店にも大きく影響が出ています。

スマブラのオフ大会についても、中止や延期をするところが多く見られますが、一方で緊急事態宣言中でも開催しているオフ大会もあります。

 

Twitterを見ている限りだと、「開きたくても赤字になるから開けない」とか、「緊急事態宣言なのに開くのはどうかと思う」とか、色んな意見を目にします。

 

自分も2016年からクロブラというスマブライベントを開いており、現在は情勢を鑑みて昨年(2020年)の12月からオフイベントを完全に休止している状態なんですが、個人的に思うことがあるので記事にしました。

 

 

【はじめに】クロブラの方針について

まず深い話をする前に、自分のスタンスについて説明します。

 

クロブラ主宰のクロマキバレットとしては
「イベントを開催してプレイヤーがコロナに感染して広げてしまっては元も子もない、落ち着くまで開催は見送るべき」
という考えなのですが、

クロブラ会計のクロマキバレットとしては
「『落ち着くまで』とはいつなのか。今時点でも赤字が30万近くになっていて、今後も増え続ける。金がなければイベントは終わる。十分な対策をして小規模開催なら問題ないのでは」

と意見が別れています。

 

色んな意見があると思いますが、最終的にはクロブラとしては大会参加者の安全を第一として活動停止とし、オフイベントを当分の間は開催しない方針を取っています。

 

緊急事態宣言で制限されること

コロナ禍のイベントについて、裏方に関わる人しか大会の事情はわからないと思うのでそのあたりも含めて説明します。

 

まず昨年の春(2020年)に最初に発令された「緊急事態宣言」について。

コロナ影響で初めてイベント会場、飲食店、その他生活必要最低限でない施設等が制限を受けました。

この緊急事態宣言中はイベントは当然開けず、当時クロブラも施設側から予約の取消を言い渡されました。

 

そして今年(2021年)になってからの緊急事態宣言について。

こちらはイベントに関することは禁止とはされておらず、「会場キャパの半分まで(上限5000人)であれば開いて良い」という状態です。

会場ごとに別途規定はあるものの(換気を定期的にすること、終了後は機材を消毒すること等)、政府や都道府県の規定としてはクリアになるので、イベント開催自体に問題があるとは言えません。

 

もちろんコロナ対策ができてるかとか感染リスクがとかはありますが、そこを一旦置いて考えた時に、緊急事態宣言下でもイベントを開催すること自体には制限されていないため問題はありません。 

 

ここを緊急事態宣言=開催不可と勘違いしている人もいそうなので、もし認識違っていた場合は改めていただきたいです。

 

金銭面での話

では直球にお金の話をしましょう。

先述の通り、イベント自体は制限の対象ではないので緊急事態宣言であろうが開催は可能な状態です。

その中でお金の話が絡んできますが、大きく3つ問題があるかなと思います。

 

イベントスペース側の問題

コロナ禍だしイベントは開かない!となると、一番経済的ダメージを受けるのは恐らく大会の主催でもプレイヤーでもなくゲーム専用として貸し出されているイベントスペースです。

ゲーム専用に貸しスペースを作っている場合、イベントが開かれなくなると途端に収益が0になるので存続は難しく、スペース自体を撤収になるかと思います。*1

 

撤収となるとコロナ禍が明けてから「さあやるぞ!」となった時には、その貸しスペースを頼りに開いているイベントも消滅せざるを得ません。
新たなイベントスペースを探すか、自分でモニタ等機材を購入して大会を開くか、になると思います。

そのため、既存のイベントでゲーミングイベント施設を使用している方々は、多少のリスクは承知の上で施設が消滅しないように「万全の対策を行った上で開催」という形で、緊急事態宣言下でもイベントを継続しているように見受けられます。

 

大会維持費の問題

次にコロナ禍で金銭的に困っているのは、モニターを自前で購入し、倉庫で保管をしているような大会の主催でしょう。

クロブラもこれに該当し、開催しない間も機材の維持費…倉庫代で毎月引かれていく状態です。

施設ごと抱えているわけではないので、月の費用は数万程度で収まりますが、これが長期化して年単位になると数十万円となるので、個人負担にしてはそれなりの額になります。

短期ならまだいいのですが、長期化し、赤字が増えすぎて回収が見込めなくなったり、どうしてもお金がなくて倉庫代が負担になるとかになれば、イベントとして二度と開催されない、という可能性もあります。

「大会の運営」とは言え、仕事でやっているわけでもなく、個人が勝手にやっていることです。費用を負担し続けるのも限度があります。

 

ちなみに関東圏をベースに話をしているつもりですが、他の地方ではモニタを参加者に持参してもらう文化があります。

現状関東では、申請時に「モニタ枠」を設けるという文化がほとんどありません*2

関東もそれやれば倉庫借りなくて済むんじゃ?という方もいるかと思いますが、主な移動手段が電車メインか自家用車メインかというのもあるので、関東では機材持参を設けても大会開催は難しいのではないかなと思います。

 

プロプレイヤーの問題

自分はプロプレイヤーではないので論点がずれているかもしれませんが…プロプレイヤー、またはプロを目指すプレイヤーにもお金の話は影響してきます。

 

スマブラのプロプレイヤーは、以前はごく少数しかいませんでしたが、スポンサー企業も増えて、プロもかなりの人数になりました。

 

プロなので、もちろんオンラインやYouTubeでの配信など活動はするかと思うのですが、やはり実力を示すのはオフラインの大会が主軸になってきます。

大規模大会で上位に入ることはプロとして実力をアピールするための大きな手段となりますし、契約延長とか、新規スポンサーとの契約とか、直接お金に関わってくると思います。(自分はプロではないので細かい契約とかお金の発生タイミングはわかりませんが)

 

現在プロとして活躍する有名プレイヤーたちも、国内外問わずいろんなオフ大会で勝ち上がってきたからこそ有名になり、スポンサーの目に止まって今があるわけです。

大型のオフ大会が無くなるとプロとして実力を発揮する場がなくなりますし、オンラインだけでは日本国内のみに限定されるので、「日本vs世界」の構図は見れなくなってしまいます。

オフ大会がなくなると、プロのYouTuberにはなれても、本来なりたかったであろうスマブラのプロとは違ってくるかもしれません。(自分はプロではないので個人の感想でしかないですが…)

 

安全面での話

ここからはコロナ禍におけるオフイベント開催の安全面のみを考えて話を進めます。

結論から言うと、「絶対安全」を謳うなら感染者数が増えている状況で大会は開くべきではありません。(当たり前ですが…)

 

ワクチンがまだ全国民に行き渡っていない現状で安全なイベントを開くとなると、徹底した対策が必要となると思います。

 

参加前の検温、不織布マスクの着用の義務付け、消毒用アルコールの設置、お金の受渡しは使い捨て手袋を使用する、こまめに換気する、使用機材の消毒、会場内飲食の制限、イベント後に感染者発生有無の通知など…。

 

ただし、これらの対策をしっかりやっていたとしても「絶対に感染しない」という保証はありません。
これはワクチンを接種していたとしても同じです
*3

 

安全面のみ着目してオフ大会のリスクを考えてみます。

 

参加者を命の危険にさらしてしまう

まず1つ目のリスクとして、当然ながら「参加者を命の危険にさらしてしまう」という点が挙げられます。

 

自分の知りうる限り、クラスター感染が発生したスマブラオフイベントは現状ない認識です(感染者数が増えて話題になっていないだけかもですが…)。
参加してた人の中から感染者が出た、というケースは有りましたが。

 

オフイベントで万が一感染してしまった場合どうするのか、という話についてはあまり話題になりませんが、主宰者としては「感染者の居た回のイベント参加者に、感染者が発生した事を連絡する」ぐらいしかできることはないと思います。

他になにかあるにしても、保健所等の指示に対応するぐらいなのかなと思いますし、そもそもコロナ禍においてのイベント参加自体は自己責任なので、イベント側としては感染した人に対して責任を取ることもないです。

 

今は感染力の強いデルタ株が猛威を奮っているようで、東京だけでなく全国各地で感染者が急増しています。

自分は若いから感染しても大丈夫!と思っている方もいるかもしれませんが、病床が足りなくなってる現状では、入院できず自宅療養となる可能性が高いです。

十分な対応ができないとなると命の危険もあります。

 

「命の危険」と書くと大げさに思われるかもしれませんが、オフ会で絶対感染しないとは言えないため、可能性としては十分ありえる話です。

 

感染者発生時の話

2つ目のリスクとして、感染者が発生してしまった場合に起きうる問題について。

 

もう1日数千人が感染する現状から、感染経路など不明になっていてどこで何が起きているかわからない状態ですが、仮にクラスター感染*4が発覚した場合、クラスター感染を発生させたイベント」として良くない方向に名前が広まってしまうことが想定されます。


実際起きてしまったらそのイベント自体がどんなに頑張って対策していたとしても、界隈内外問わず話題にはなると思います。

そうなると、イベント側としても次のイベントが開きづらくなってしまうこと、また感染した参加者も話題の矛先が向いて参加しづらくなってしまう、という不安が個人的には大きいです。

 

スマブラのオフ界隈はSP発売から突然成長し、あまりにも大きなコンテンツになってしまったので、何か起きたときの反動も大きい印象が強いです。

ペルソナ5のストーリーでも似たような事がありましたが、母体が大きくなると嬉しい反面、怖くも感じています。

特に、現状奇跡的にオフ大会でクラスターが発生していないというのもあり、実際起きてしまった場合にどのように世間が反応するか、いろんなところに派生してしまわないか…など思うところはあります。

 

感染症については「絶対」というものがないのでタラレバの話になってしまうので考えすぎと思う方もいるかもしれませんが、この情勢下でイベントを開催する以上は、いろんなことを想定する必要があるのかなと思います…。

 

文化面での話

「オフ大会を開いていかないとオフでスマブラをやる文化が消えてしまう」

コロナで数年間オフ大会が開かれなかったら、確かにそれはあるかと思います。

実際コロナの増え始めのときは自分も永遠に開けないのでは…と懸念していました。

 

スマブラは格ゲーとは違い家庭用ゲーム機なので、ゲーセンなど交流できる場に集まるのではなく誰かの家に集まって遊ぶのが普通で、宅オフなりオフ大会なりを独自に形成してきました。

現在、その文化を持っているのはスマブラSPではなく、それ以前からスマブラをやっている人たちが作り上げて継承してきたので、SPからスマブラ界隈を知った人も「そういうもの」と認識しているかと思われます。
仮に10年間宅オフとかオフ大会が開かれなくなると、その文化を持ったプレイヤーも絶滅してオンラインしか触らなくなる時代も来るんじゃないかと思っています。

 

そうなると今までの俺達のオフは…となってしまうのでちょっと怖かったですね。

 

しかし、ワクチンの有効性も示されており、克服した国も出てきているわけなので、今年は無理でも近いうちには何も気にせず大会ができるようになるのでは…と希望が見えてきています。

 

また、主宰者の中にはプレイヤーに対戦の場を提供し続けることに意味があるという考えもあり、「会場NGが出ない限り、人がいる限り開催する」というイベントもあると思います。

 

実際大きな舞台を期待しているプレイヤー的には(プロのプレイヤーも含めて)オフの定期的な対戦の場がなくなると困りますし、リスクは承知の上でも開催してくれるとありがたいという感じでしょうか。

 

【おわりに】主宰としてどれを優先するか

金銭面、安全面、文化面など視点を変えて書きましたが、結局はその要素から考えた上で主宰が大会をどうしたいかを決めています

そしてその主宰の意向に納得した人がオフ大会に参加申請している認識です
主宰/スタッフと参加者はお互いに支え合っている関係だと思っています。

 

この情勢下、開催するにも中止するにも、100%な正解はないと思っています。
正解を決めてしまうと、そこから外れたものは悪とみなされてしまうからです。

今までこんな開催するかしないかの判断のみで複雑な要素が絡みあうことなんてなかったんですから、答えのない中で試行錯誤して現状の最適解を探していくのは当然かなと思ってます。

 

そんな中での決定は、主宰やスタッフが「この大会では何を優先したいのか」を考えた上の開催、または中止だと思いますし、尊重してあげるのが正しいのかなと思います。

 

そして参加者は、大会参加を選べるわけです。もし方針が合わないなら参加しなければいいですし、行き過ぎて責めるようなことはしないでほしいと思っています。
 

自身としても「クロブラは当面開催しない」と決定しましたが、「こうした方がいいんじゃない?」という意見はあっても、「他の大会も絶対こうでないといけない」と言うつもりはないということはご理解いただけたらと思います。

 

この感染するかしないかに怯える状況はまだまだ続きそうですが、皆さんとオフ会場で会えることを祈っています。 

 

 

【おまけ】参加者側はどう考えているか

おまけです。

今年の5月頃にコロナ禍におけるオフイベントのアンケートを取りました。

 

chromakeybullet.hatenablog.com

 

有効回答数は400ちょっと。全国から回答頂きました。ありがとうございます。

 

年齢について

回答頂いた方のほとんどがスマブラSP勢でしたので、全体的に若いです。
10代が20%、20代が70%、30台以上は10%となりました。

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地域について

これは人口の面もありますが、自分が関東に住んでいるというところもあってアンケートが関東の知り合いづてに多く広がったのかなと推察します。

関東が60%、続いて中部近畿が12%程度でした。

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コロナ禍のイベントで参加する指標になる点について

イベント規模よりも、対戦環境としてより参加しやすい場所がいい印象を受けました。
また、当然ながら「コロナ禍では参加を見送っている」という意見も多く見られました。

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コロナ禍のイベントで参加を躊躇う要因について

緊急事態宣言やまん延防止措置が発令されている場合は参加したくはない、という意見が多かったです。

上記の質問もこの質問も複数回答としたのですが、やはり現状は参加を見送る方が多いという印象です。

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大規模オフイベントについて

「落ち着くまで参加しない」39.3%、「緊急事態宣言等が出ていたら参加しない」33.6%なので、緊急事態宣言が出ていたら大体7割程度の方が参加はしない、という認識のようです。

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情勢が落ち着いた後について

これは規模問わず参加したいとの意見が多く、主催側としては嬉しい限りです。

 

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アンケート全体通して、コロナ禍においては大会参加を控えたいという方が多い一方で、コロナ禍だからとか緊急事態宣言とかは全く気にしていないという人も少なからずいるということがわかりました。

 

アンケートへの回答、ありがとうございました。

今後の大会の参考にさせていただきます。

 

*1:東京・中野のレッドブルゲーミングスフィアのように、他で収益があるから会場費もかからない、というイベントスペースもなくはないです。コロナ禍になってからは一般利用不可となっています

*2:渋谷のイベントスペース主催のイベントではモニタ持参募集してた気がします

*3:ワクチンにより現状発生リスクを抑える点と感染時の症状を緩和させることはできても、絶対感染しないということはないです

*4:クラスター感染の定義は厚生労働省によると「5人以上」と定義されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kansenkakudaiboushi-iryouteikyou.html